2019年3月13日水曜日

戸隠の本院岳ダイレクト尾根を登った

日程:2月12~14日
山域:長野県 戸隠連峰
参加者:L筆者、ウノ、サカイ

西岳P1尾根の登攀を無事成功させた我々は、次なる対象である本院岳ダイレクト尾根へ向かったのであった。

ダイレクト尾根にはD1~D9の顕著なピークがあり、D7・8・9が核心とされている。
なお、信州大学に倣って、西岳の各ピークとの混同を避けるためにダイレクト尾根の各ピーク は「D~」と表記する。


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2/12
晴れ
6:05
ダイレクト尾根末端(二股)【行動開始】
7:50
参道ルンゼ取り付き
8:20
D1
9:58
D2
10:09
D3
10:35
D4
11:30
D5
13:20
D6【幕営】
15:15
D7FIX工作完了

P1尾根の反省を活かし、ワカンをデポして出発。
ダイレクト尾根の末端から取り付き順調に高度を上げる。
取り付きからしばらく登ると白樺台地と呼ばれている白樺があまり生えていない台地へ出る。その先は徐々に勾配が増していき、参道ルンゼと呼ばれる実質的な登攀開始地点へ。

(白樺台地は白樺が少ない)
           

  (参道ルンゼのある岩塊が見えてくる)



参道ルンゼ手前で登攀準備を整え、登攀開始。
斜度も30度くらいで雪が安定しており、ロープを出すほどでもない。
最後の乗越だけ65度ほどの少し悪い草付きだったが、問題なく突破しD1へ。

(参道ルンゼ)





D1から藪が濃い尾根を少し詰めるとD2直下の岩壁にでた。ここは二段クライマーのサカイさんが行く。ドラツーチックなクライミングで67mほどロープを伸ばしたあたりで動きが止まる。「手間取ってますね~。」というような感じでウノさんと話していると、サカイさんの手足が一瞬せわしなく動き、落下した。プロテクションは取っておらず、これはやばいかもと思ったが、幸い直下の雪が良く積もっていたのと、岩からきれいに飛び降りたのとで、全くの無傷だった。期せずして今流行りのDeep Snow Soloとなった。なぜか笑えてくる。

(落ちる前)





D2はおとなしくスタカットで巻くと、D4D5のコルに出る。どうやらD3もまとめて巻いてしまったようだ。

D4はよくわからなかった。一緒に巻いたのか、知らない間に通過していたのか。
この辺は難なく突破といった感じであった。
(終日晴れ)

(D4とD5のコルへ詰めあがる)





少し雪稜を歩くと、D5手前に出た。私がリードで突破。普通の雪と草付きのMIX

(D5手前)

(D5にて後続を待つ)

 
(この世の終わりのような様相を呈している斜面)




D5からウノさんリードで雪壁をトラバース。D6取り付きへ。
                 (D6手前)



D6は筆者がリード。
ここから悪名高い戸隠のキノコ雪が出現し始める。
バーティカル除雪は30分以上に及び、中々手ごたえがあった。

(D6のキノコ雪)




まだ時間はあったが、計画では1日目はD6まで来れれば良しと考えていたため、幕営することにする。テントを張るには雪稜の幅が狭かったが何とか整地。ギリギリテントが収まった。
D7
FIXロープだけ張って明日に備える。空身でサカイさんがリード。かなり手間取っている。傍目から見ても恐ろしい全身運動である。草付きとキノコ雪のMIXで、斜度は80度~というような感じ。もちろんラッセルもしなくてはならない。あまり使う気のなかったイボイノシシはここで使用した。プロテクションがしっかりとれるのがこのピッチの救いであった。2時間近くかかってやっとFIX工作が完了した。この作業を明日に回さなくて本当に良かった。

書籍やネット上の記録ではD7の言及はあまりなかった気がする。
もしこのD7以上の強度が本院岳まで続くなら結構やばいのではなど思いつつ就寝。

 (D7の登攀)

(高妻山がきれい)

 
(ヤニセッション)

(際どいテン場)

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2/13
曇り時々雪
6:40
D6【行動開始】
7:50
D7
11:10
D8
12:20
プラトー
18:20
D9【幕営】


本日の行動はD7の登り返しから。筆者が一番始めに登る。やはり結構悪い。15㎏以上を背負って登るピッチではない。一回落ちた。
D7
からはD8が威圧感をもって聳え立っていた。リッジ沿いに直登は厳しいと確信する。弱点を探していると、左にうまく巻けそうである。
リッジ沿いに10m、そこからD8岩壁基部へ30m懸垂して、D8を巻きにかかる。
(D8)



サカイさんリードで1ピッチ。ビレイ点がハンギング。
筆者リードで1ピッチでD8の裏に回る。オーバーヘッドラッセルとちょっと悪い草付き。
その後、ウノさんリードで1ピッチで尾根上に復帰。快適な草付きアイス。アックスがばっちり決まった。

(へつっていけば上手く巻けそう)

(サカイさんリード)

(D8の1ピッチ目はハンギングビレイ)

(ウーさんリードでルンゼ状を草付きアイス。)



尾根上に復帰したら、ちょっと歩いて1ピッチ懸垂。
ここには残地があり、ダイレクト尾根に入ってから初めて人跡を見た。

(懸垂)

(下りた先はこんな感じ)


サケさんリードで1ピッチ登ったらプラトーにでる。
プラトーは本当にプラトーって感じで、久しぶりに落ちない努力しなくてもいい場所に来れた安堵を感じた。

(この感じ、そろそろ慣れてきた)

(プラトー)




年上の二人が、「もう若くねーんだ。」などと言い出し、プラトーで幕営したがり始める。色々と理屈をこねているが、時間的には次の幕営候補地まで行ける余裕はある上に天候も安定しているのでこれは進むべき場面であると筆者は感じた。二人の話をよくよく聞いてみると休みたいからという意思を理論武装しているだけであったので、進むことにする。
(怪しげな相談をしている二人。)



D9も正面突破は厳しいため右側から取り付く。
雪崩斜面を横切って取り付き。
筆者リードでちょっと凍ったルンゼを詰めあがり、次のピッチをウノさんがリード。

(ちょっと怖いトラバース)

(D9、1ピッチ目)




ウノさんのリードがいつまでたっても終わらない。ビレイしている筆者は寒くて寒くてたまらない。1時間以上経過している。

「サカイさんちょっと様子見てきてもらえませんか。」

横で同じく凍えているさかいさんに声をかける。

なんか両腕でアックス振り回してんな。」

どうやらキノコ雪にアックスのブレードだけで挑んでいるらしい。なぜスコップを使わないのか。結局ウノさんはロープを60m伸ばすのに1時間半かかった。後にウノさんは語る。「キノコ雪があんなにあるとは思わなかった。キノコ雪セクションに突っ込んだ時点で足場が極めて不安定だったうえにプロテクションもプアだったからスコップを出す暇がなかった。数本の笹を死に物狂いで掘り出して、それを嬉々として掴んでシャバシャバの不安定な雪に足を上げる、という作業の繰り返しで精神的・体力的に消費した。」
  (D9、2ピッチ目を見上げる)





D9に抜けるためには最後に1ピッチこなす必要があった。サカイさんリードで抜ける。
ウノさんがフォローで続こうとする。しかし、どうにも手間取っている。前のピッチのリードで力を使い果たしたのだのなんだのと言っている。ひどくじたばたした末、ユマーリングを試み始める。無理だろと思いつつも見守る。やはり雪壁に顔面をめり込ませることになり、失敗。日が暮れた。
「すまん。」
結局ウノさんには空身で突破してもらい筆者が2往復してウノさんの分も荷揚げした。


(ユマーリングを試みるウノさん)

 
(2人分のマカルー)




そんなこんなで手間取り、幕営地に着いたのは18時過ぎ。
そこから整地して、テントに入ったのは19時過ぎてからになった。

  (やっとテントに入れる)


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2/14
曇り後晴れ
6:25
D9【行動開始】
10:52
本院岳
12:14
西岳直下ルンゼ下降開始地点
15:15
P1尾根登山道
17:10
上楠川の橋【下山】



朝一でキノコ雪を処理し、D9の稜線に復帰。山頂と思しきピークが見える。一同大喜び。
              
  (朝一のキノコ雪)




稜線に復帰してからは再び気の抜けないセクションが連続する。

酒井さんリード。山頂直下の巨大な岩塔を巻きにかかる。岩頭の基部でピッチを切る。
(もう何ピッチ目だろう)

 (かっこいいビレイ点)




次のピッチを宇野さんがリード。山頂直下の最後の登りの取り付きまで。
(がんばれ~)                     





筆者リード。最後のピッチになるかも、と浮足立つ。だが、激しいバーティカルオーバヘッドラッセルを強いられそれどころではなくなる。終始不安定な足場でスコップを振り回し、突破。60mロープを伸ばすのに1時間近くかかった。ひたすら体力勝負のピッチ。本当に最後まで気が抜けない。
(なかなか手ごわい)




ピークまだかよ、と全員思いつつ、半ば作業的に酒井さんがリードでロープを伸ばす。フォローで終了点に到着すると、その先には空が広がっていた。最後にノーザイルで30mほど登るとそこは…。

   (およよ)




ピークだ!!!
  (うひょー!)





ひとしきり喜んで写真を撮った後、下降開始。だが、この下降で怖い思いをした。

稜線沿いに下降するよりも移動距離が短く済むということで途中から谷を下る選択をした。雪が安定していたためこのルートを選択したのだが、想定外だったのは岩壁の近くには2~mの垂直な落とし穴(シュルンド)が点在していたことである。雪で覆われており一見わからないのが恐ろしい。そもそも雪が安定していても数mの積雪で40度~50度の谷状地形を下降するのは単純に怖い。雪崩ない保証など何もないのだ。

筆者も一回落とし穴に落ちた。自力で脱出できたが、生きた心地がしなかった。
 (怖ろしい下降)

(あわわ)



心が折れたので、P3尾根は行かないことにした。

他の2人は元々行くつもりは無かったらしく、当然じゃん。疲れたし温泉行こうぜ。というような感じであった。

そして、温泉に行った。



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たくさんの課題と収穫を得た。

お腹いっぱいである。

P1尾根の不満は完全に解消された。

力を出し切った良い山行であった。




















2019年2月25日月曜日

戸隠の西岳P1尾根を登った

日程:2月8~11日
山域:長野県 戸隠連峰
参加者:筆者(L)、ウノ、サカイ


この計画は、西岳P1尾根、本院岳ダイレクト尾根、西岳P3尾根の継続登攀を試みたものである。

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2/8 移動

京都からバスで長野へ。バス停から私の実家へ。北海道に史上最強クラスの寒波が襲来するとの報をうけ、その影響が戸隠にどのように及ぼされるのかを議論する。場所は長野県の筆者の実家である。暖房が効いており、ふかふかの布団が敷いてある。筆者たち三人は銭湯から上がってきたばかりでホカホカであった。
ウノ「寒いことにより気力が削られることが懸念される。明日以降は天気が安定しそうだし、明日は須見の家で体力を温存するべきだ。」
サカイ「異議なし。」
筆者「それでいいと思います。」
今考えると実家のあまりの快適さに少々判断力が鈍っていたとも思わなくもない。


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2/9 チン 

全員荷物があまりにも重すぎると感じていたことが発覚し、装備を今一度確認。コンロ台を5平方㎝にカットするなど軽量化を推し進めた。
あとはだらだらと過ごした。


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2/10 6:35上楠川の橋~12:35熊の遊び場手前 曇り時々雪


筆者の父親が登山開始地点である上楠川の橋まで車で送ってくれた。雪がちらつく中、わかんを着けて歩き出す。事前の情報どおり積雪は少ない。わかんが必要ないくらいである。林道終点からは川沿いに適当に進んでいく。途中渡渉を34回強いられた。

(スーパージャンピング渡渉も一か所出てきた)


上楠川右俣に少し侵入したところから直上していくと、30分ほどで天狗平に着いた。ここに荷物をデポして先へ進む。ここから先はトレースがしっかりついていたため、時々思い出したように地図を確認する以外は特に何も考えずトレースを辿る。思考を捨てて歩いていると、3人のおじさまパーティとすれ違う。天気が微妙で先行者が遅いからP1完登を諦めて降りてきたとのこと。少々不安になる。アイゼンを装着。
熊の遊び場(露岩と雪壁の実質的なP1尾根の登攀開始地点)の手前に着く。熊の遊び場は岩が所々露出しており氷瀑が垂れ下がっている。先行の3人パーティが既に熊の遊び場の1ピッチ目に取り付いていた。
翌日にP1尾根を登れる目途も立ったので熊の遊び場基部で幕営することにする。

17:00頃にもテントの脇を下降してきたパーティが通過し、P1尾根の人気具合にやや辟易してくる。
サカイさんの放尿回数が異常に多いため詳しく聞いてみると、生来膀胱の調節がうまくできないらしく、直近の失禁が2.3年前であることが分かった。


(幕営地からダイレクト尾根を望む)

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2/11 6:30熊の遊び場手前~8:20無念の峰~9:59P1~11:51熊の遊び場手前
   ~14:32ダイレクト尾根末端 曇り時々雪


幕営装備をデポし、登攀開始。
1
ピッチ目は私がリード。草付きのクーロワールを抜け、熊の遊び場へ侵入していく。60mロープであれば気持ちよく灌木にビレイ点を作ることができたのだが、50mだと微妙に足りない。仕方なくスノーバーでピッチを切る。
(こう見るともう10mで灌木まで行けたか怪しいな)


2ピッチ目はウノさんがリード。出始めがアイス交じりの草付き&岩登りのMIXで少々悪いが、あとは簡単な雪壁を詰めて終了点に到着。
2
ピッチ目以降はロープを出さずに歩きとダブルアックスを交えて雪壁を登っていくと無念の峰(熊の遊び場の終了点)に出た。

無念の峰通過した後、すぐに蟻の塔渡り(両側が切れ落ちているやせた雪稜)が出現。4mほどの嫌らしいギャップを土嚢懸垂でごまかして、蟻の塔渡りに取り付く。トレースがついていて、雪も安定しているためロープは出さない。トレースがなかったらロープが必要だっただろう。
(蟻の塔渡り)



蟻の塔渡り通過後、無雪期は鎖場のセクションが二箇所出てきて、スタカットで通過。

一箇所目は酒井さんがリード。少し傾斜があったが乗越しに灌木があるため苦労しない。


(ぼちぼちな感じ)


二箇所目は筆者がリード。シンプルな雪壁登攀。全員通過後ロープをしまう。
後はトレースを辿って、P1頂上。GPSP1頂上にいることを確認し、記念撮影。
                (やったー!)

下降は同ルート。

登りでロープを出したセクションは懸垂下降し、他はクライムダウン等で下降。

(懸垂下降)


蟻の塔渡り手前の土嚢懸垂ポイントの登り返しが地味に面倒くさかった。落ちたら止まらなそうだったのでロープを出した。

            (登り返し、左側が切れ落ちている)

          (最後の懸垂下降、景色、きれいじゃん)

熊の遊び場を下りきって、一安心。

           (幕営地から熊の遊び場を振り返る)

デポ品を回収して、とっとと下る。

天狗平のデポ地で食糧を補給し、本院岳ダイレクト尾根の末端に移動。幕営。

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登れたことは素直に嬉しかったが、西岳P1尾根ではトレースの恩恵にあずかってしまい、不完全燃焼だった。

モノ足りないよ。トホホ。














2019年2月5日火曜日

野谷荘司山で山スキー

日時:2019年2月1日~2日
参加者:筆者・ムクルマ・オカザキ・イシヅカ(L)
山域:野谷荘司山
ヤマレコ:https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1720247.html

人生2度目の山スキー。
先行者のトレースのお陰でサクサク進む。
快適な登高。

途中すれ違った単独テレマーカーさんの佇まいがとてもイカしていた。

1601JPまで登高するも視界が20~30m。

ピークハントは諦めて滑降する。

ふかふかで気持ちいい滑降である。

一本松(なんか広くて平らなところ)まで下る。2回軽くこけたくらい。今回は10回以内に抑えられるのでは、という淡い期待を持つ。

一本松ではムクルマパイセンからピットチェックの指導を賜る。
パイセンは山スキーのことならなんでもおまかせアレの凄い方なのだ。
時々師匠と呼ばせていただいている。

一本松からは、ちょっと尾根沿いに滑降して、最後は谷を滑降。
谷の雪は気持ちよかったなあ。

まあ、結果としては10回以上こけてしまったのだけれど。
タハハ…。

・滑降は崖から落ちるつもりでまっすぐくだり始める。
・ターンは緩いカーブを意識する。怖がって180度折り返しターンをしているようではパイセンのようにヌルヌル滑降することはできない。
・後ろ体重=転倒。

運転免許は持っていない、滑降は下手、車内では寝てばっかの僕を連れて行ってくれる会の方々には感謝である。

下山後の白川郷の温泉と五平餅は格別であった。

                  (1601JP直下)

  (視界が悪い)

                (トラヴァース)

                   (一休み)

                 (師匠のピットテスト)


(滑降)



堂満ルンゼで登攀

日時:2019年1月31日
参加者:筆者・サカイ・ウノ(L)・カワジリ
山域:比良山系 堂満岳

二月に控える戸隠の登攀、三月の北海道での登攀のアップ山行として、堂満ルンゼ中央稜へ行ってきた。

雪は少なめ。

筆者・サカイさんペアで登攀。サカイさんと山へ行くのは初めてであった。自分をさりげなく大きく見せようという悪癖がチョロチョロと舌を覗かせる。我ながら醜い性である。

特に問題もなく2ピッチ終え、ウノさんパーティーを待つ。

合流し、頂上へ。1時間ほど登ってピーク。意外と長い。

ウノさんがOBさんから授かったらしい新型腕時計GPS端末を自慢してくる。
「こいつにかかればイッパツで現在地と方角がわかっちゃうってワケ。」

下降し始めて40分。地形図と地形が一致していないとうすうすみんな気付いていた。
だが、同時に歩き続けていることで思考が鈍っており、歩き続けていればいつか約束の地へたどり着けるという妄想に似たなにかを抱いていた。

1時間経って堰堤が大量に出てくる。まだ、イケる。

堰堤を6.7つ程乗り越えたころ、流石にイケなくなった。
「ここは上ノ廊下ですか。」

長大なその谷は、本来下降するはずの谷を尾根を一つ隔てて南の方角にある深谷という谷であった。

おいおいおい。

やれやれ。

・休憩取って頭を冷やす時間を設けるべきだった。
・一人の意見に流されすぎ。
・地形図の確認怠りすぎ。
・違和感感じたら隊員ですぐに共有するべき。

何年山岳部やってるんだ。

車に戻ってきたときにはみんな雨でグショグショになったのであった。
心身グショグショなのであった。






            (筆者パーティーは2ピッチ目から登攀)


(10個くらい堰堤超えた気がする)