参加者:コサカ(L)、スミ
山域:香落渓 行動の滝(のある謎谷)〜謎谷
もう引き返せない。
このスラブを登り切るか、落ちるかの二択しか私には残されていない。
ランナーは地上4m地点にあるしょうもないクラックに取ったカムのみ。それに対して私は今少なくとも地上15m地点にいる。
あの木に・・・。7m先にあるあの木に支点が取れればどれだけ幸せだろうか・・・。木の枝が滝の瀑風で妖しげにゆらめいている。届かない。
下を見ると、コサカさんはカメラで私を撮影している。この状況でビレイは意味を持たないが、そこにはビレイする意思も感じられない。
ふくらはぎがパンプアップしてくる。
とにかくこの状況をなんとかしなければならない。
スローパーカチの最適な入力ポイントと足のフリクションを確認し、想定ムーブを反芻する。
スタート:嫌がらせとしか思えないほどぬめっているスローパーカチ。足はフリクションを信じる。
1手目:落ち葉と苔を掘り起こして探し出したダイク状ホールドに足を100°広げて突っ張る。
2手目:スローパーカチを全力で引き付けて体を引き上げる。
3手目以降:アドリブ
左横ではザアザアと無機的に水が流れている
息を吸って、両腕に力を込めた。
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