2019年3月15日金曜日

芦別岳で山スキー

日時:2019年3月5日
山域:北海道 芦別岳
参加者:Lムグルマ・サカイ・アオキ・イノウエ・筆者
ヤマレコ:https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1747517.html

スキーツアーの最後を締めるのにふさわしい対象である。
滑降の難易度が高いとされる芦別岳。
今回は条件に恵まれ筆者も山頂付近からの滑降にトライできた。
まだまだヘタッピなのを実感したが、素晴らしい滑降を体感した。
精進しよう。

芦別岳もオプタテシケと同じように登高~滑降の行程が連続性を帯びておりいいストーリーだった(オプタテシケには敵わないが)。
最後の登りの直前の芦別岳山頂との対峙はゾクゾクした。

今回のスキーツアーは非常に楽しかった。
もう滅茶苦茶楽しかったといっても過言ではない。
日中は北海道の上質な山スキーをお腹いっぱい堪能し、下山後はペンションでまったり休んで、翌日の山スキーに備える、と言った極めてシンプルかつ贅沢な生活。
金持ちになったらこういうことをしていきたい。
その際は食にもお金をかけたいと思う。
果たしてその日は来るのか。


(芦別岳山頂と対峙)

(スキーツアーのメンバー)

(下山後はジンギスカンで打ち上げ)

旭岳で山スキー

日時:2019年3月4日
山域:北海道 旭岳
参加者:Lムグルマ、アオキ、サカイ、イノウエ、スミ
ヤマレコ:https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1746987.html

噴火口の横を滑るのがとても面白かった。
浮世離れなどという陳腐な形容で表現するのはあまりにももったいない。

  (浮世離れな光景)

オプタテシケ山で山スキー

日時:2019年3月3日
山域:北海道 オプタテシケ山
参加者:Lムグルマ、アオキ、サカイ、イノウエ、スミ
ヤマレコ:https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1745774.html

今までの山スキーで一番良かった。

断言できる。

林道歩きから始まり、樹林帯の登高、森林限界の突破、ディープブルーとピュアホワイトのコントラスト、ほどほどにキツイがしつこくはないシール登高の末に、最後シートラでピークを踏む。

そして滑降。

登高中の全ての伏線を見事に回収する。

オープンな斜面もあればクーロワールをアスレティックに滑降する場面もあり。
パウダーからカリカリ雪まで雪質の変化も面白い。
最後は滑降の余韻に浸りながら林道を滑る。
まるで美しい物語のような一日だった。

  (山頂にて)

富良野岳ジャイアント尾根で山スキー

日時:2019年3月2日
山域:北海道 富良野岳ジャイアント尾根
参加者:Lムグルマ・サカイ・アオキ・イノウエ・スミ
ヤマレコ:https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1744307.html

天気があまりよくなかった。
それでも滑るのは楽しい。
イノウエさんが最後のジャンプ台みたいなところでバナナの皮で転んだかの如く勢いよく縦に半回転したのはとても面白かった。

  (上部は視界が悪いし風も強い) 

 (滑る筆者)

富良野スキー場のナイター

12:30新千歳空港で集合。

京大生4人と私大1人。
悲しいかな浪人の性。
脳裏にこびり付いた旺文社の偏差値表。

車で富良野市へ移動。後スキー場へ。
妙高のスキー合宿の成果を見せる時が来た。
筆者の滑りを初めて見るメンバーが多い。
ファーストインプレッションが肝要である。
少なくとも転ぶことは許されない。

後ろからの視線を感じながら滑り出す。
縦のシュプールを描いていく。
低温のためか表面の雪が非常に軽くなっており、滑った後にはきめ細かい雪煙が舞う。

「ガリガリガリガリ」

圧雪された斜面が夜の低温で締まり、半ば凍結しているような感触だ。

「ガッッッ」

「あっ。」

ターンの途中。
不意に弾かれるスキー板。
舞い上がる粉雪。

コケた。

2019年3月13日水曜日

戸隠の本院岳ダイレクト尾根を登った

日程:2月12~14日
山域:長野県 戸隠連峰
参加者:L筆者、ウノ、サカイ

西岳P1尾根の登攀を無事成功させた我々は、次なる対象である本院岳ダイレクト尾根へ向かったのであった。

ダイレクト尾根にはD1~D9の顕著なピークがあり、D7・8・9が核心とされている。
なお、信州大学に倣って、西岳の各ピークとの混同を避けるためにダイレクト尾根の各ピーク は「D~」と表記する。


~~~


2/12
晴れ
6:05
ダイレクト尾根末端(二股)【行動開始】
7:50
参道ルンゼ取り付き
8:20
D1
9:58
D2
10:09
D3
10:35
D4
11:30
D5
13:20
D6【幕営】
15:15
D7FIX工作完了

P1尾根の反省を活かし、ワカンをデポして出発。
ダイレクト尾根の末端から取り付き順調に高度を上げる。
取り付きからしばらく登ると白樺台地と呼ばれている白樺があまり生えていない台地へ出る。その先は徐々に勾配が増していき、参道ルンゼと呼ばれる実質的な登攀開始地点へ。

(白樺台地は白樺が少ない)
           

  (参道ルンゼのある岩塊が見えてくる)



参道ルンゼ手前で登攀準備を整え、登攀開始。
斜度も30度くらいで雪が安定しており、ロープを出すほどでもない。
最後の乗越だけ65度ほどの少し悪い草付きだったが、問題なく突破しD1へ。

(参道ルンゼ)





D1から藪が濃い尾根を少し詰めるとD2直下の岩壁にでた。ここは二段クライマーのサカイさんが行く。ドラツーチックなクライミングで67mほどロープを伸ばしたあたりで動きが止まる。「手間取ってますね~。」というような感じでウノさんと話していると、サカイさんの手足が一瞬せわしなく動き、落下した。プロテクションは取っておらず、これはやばいかもと思ったが、幸い直下の雪が良く積もっていたのと、岩からきれいに飛び降りたのとで、全くの無傷だった。期せずして今流行りのDeep Snow Soloとなった。なぜか笑えてくる。

(落ちる前)





D2はおとなしくスタカットで巻くと、D4D5のコルに出る。どうやらD3もまとめて巻いてしまったようだ。

D4はよくわからなかった。一緒に巻いたのか、知らない間に通過していたのか。
この辺は難なく突破といった感じであった。
(終日晴れ)

(D4とD5のコルへ詰めあがる)





少し雪稜を歩くと、D5手前に出た。私がリードで突破。普通の雪と草付きのMIX

(D5手前)

(D5にて後続を待つ)

 
(この世の終わりのような様相を呈している斜面)




D5からウノさんリードで雪壁をトラバース。D6取り付きへ。
                 (D6手前)



D6は筆者がリード。
ここから悪名高い戸隠のキノコ雪が出現し始める。
バーティカル除雪は30分以上に及び、中々手ごたえがあった。

(D6のキノコ雪)




まだ時間はあったが、計画では1日目はD6まで来れれば良しと考えていたため、幕営することにする。テントを張るには雪稜の幅が狭かったが何とか整地。ギリギリテントが収まった。
D7
FIXロープだけ張って明日に備える。空身でサカイさんがリード。かなり手間取っている。傍目から見ても恐ろしい全身運動である。草付きとキノコ雪のMIXで、斜度は80度~というような感じ。もちろんラッセルもしなくてはならない。あまり使う気のなかったイボイノシシはここで使用した。プロテクションがしっかりとれるのがこのピッチの救いであった。2時間近くかかってやっとFIX工作が完了した。この作業を明日に回さなくて本当に良かった。

書籍やネット上の記録ではD7の言及はあまりなかった気がする。
もしこのD7以上の強度が本院岳まで続くなら結構やばいのではなど思いつつ就寝。

 (D7の登攀)

(高妻山がきれい)

 
(ヤニセッション)

(際どいテン場)

~~~



2/13
曇り時々雪
6:40
D6【行動開始】
7:50
D7
11:10
D8
12:20
プラトー
18:20
D9【幕営】


本日の行動はD7の登り返しから。筆者が一番始めに登る。やはり結構悪い。15㎏以上を背負って登るピッチではない。一回落ちた。
D7
からはD8が威圧感をもって聳え立っていた。リッジ沿いに直登は厳しいと確信する。弱点を探していると、左にうまく巻けそうである。
リッジ沿いに10m、そこからD8岩壁基部へ30m懸垂して、D8を巻きにかかる。
(D8)



サカイさんリードで1ピッチ。ビレイ点がハンギング。
筆者リードで1ピッチでD8の裏に回る。オーバーヘッドラッセルとちょっと悪い草付き。
その後、ウノさんリードで1ピッチで尾根上に復帰。快適な草付きアイス。アックスがばっちり決まった。

(へつっていけば上手く巻けそう)

(サカイさんリード)

(D8の1ピッチ目はハンギングビレイ)

(ウーさんリードでルンゼ状を草付きアイス。)



尾根上に復帰したら、ちょっと歩いて1ピッチ懸垂。
ここには残地があり、ダイレクト尾根に入ってから初めて人跡を見た。

(懸垂)

(下りた先はこんな感じ)


サケさんリードで1ピッチ登ったらプラトーにでる。
プラトーは本当にプラトーって感じで、久しぶりに落ちない努力しなくてもいい場所に来れた安堵を感じた。

(この感じ、そろそろ慣れてきた)

(プラトー)




年上の二人が、「もう若くねーんだ。」などと言い出し、プラトーで幕営したがり始める。色々と理屈をこねているが、時間的には次の幕営候補地まで行ける余裕はある上に天候も安定しているのでこれは進むべき場面であると筆者は感じた。二人の話をよくよく聞いてみると休みたいからという意思を理論武装しているだけであったので、進むことにする。
(怪しげな相談をしている二人。)



D9も正面突破は厳しいため右側から取り付く。
雪崩斜面を横切って取り付き。
筆者リードでちょっと凍ったルンゼを詰めあがり、次のピッチをウノさんがリード。

(ちょっと怖いトラバース)

(D9、1ピッチ目)




ウノさんのリードがいつまでたっても終わらない。ビレイしている筆者は寒くて寒くてたまらない。1時間以上経過している。

「サカイさんちょっと様子見てきてもらえませんか。」

横で同じく凍えているさかいさんに声をかける。

なんか両腕でアックス振り回してんな。」

どうやらキノコ雪にアックスのブレードだけで挑んでいるらしい。なぜスコップを使わないのか。結局ウノさんはロープを60m伸ばすのに1時間半かかった。後にウノさんは語る。「キノコ雪があんなにあるとは思わなかった。キノコ雪セクションに突っ込んだ時点で足場が極めて不安定だったうえにプロテクションもプアだったからスコップを出す暇がなかった。数本の笹を死に物狂いで掘り出して、それを嬉々として掴んでシャバシャバの不安定な雪に足を上げる、という作業の繰り返しで精神的・体力的に消費した。」
  (D9、2ピッチ目を見上げる)





D9に抜けるためには最後に1ピッチこなす必要があった。サカイさんリードで抜ける。
ウノさんがフォローで続こうとする。しかし、どうにも手間取っている。前のピッチのリードで力を使い果たしたのだのなんだのと言っている。ひどくじたばたした末、ユマーリングを試み始める。無理だろと思いつつも見守る。やはり雪壁に顔面をめり込ませることになり、失敗。日が暮れた。
「すまん。」
結局ウノさんには空身で突破してもらい筆者が2往復してウノさんの分も荷揚げした。


(ユマーリングを試みるウノさん)

 
(2人分のマカルー)




そんなこんなで手間取り、幕営地に着いたのは18時過ぎ。
そこから整地して、テントに入ったのは19時過ぎてからになった。

  (やっとテントに入れる)


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2/14
曇り後晴れ
6:25
D9【行動開始】
10:52
本院岳
12:14
西岳直下ルンゼ下降開始地点
15:15
P1尾根登山道
17:10
上楠川の橋【下山】



朝一でキノコ雪を処理し、D9の稜線に復帰。山頂と思しきピークが見える。一同大喜び。
              
  (朝一のキノコ雪)




稜線に復帰してからは再び気の抜けないセクションが連続する。

酒井さんリード。山頂直下の巨大な岩塔を巻きにかかる。岩頭の基部でピッチを切る。
(もう何ピッチ目だろう)

 (かっこいいビレイ点)




次のピッチを宇野さんがリード。山頂直下の最後の登りの取り付きまで。
(がんばれ~)                     





筆者リード。最後のピッチになるかも、と浮足立つ。だが、激しいバーティカルオーバヘッドラッセルを強いられそれどころではなくなる。終始不安定な足場でスコップを振り回し、突破。60mロープを伸ばすのに1時間近くかかった。ひたすら体力勝負のピッチ。本当に最後まで気が抜けない。
(なかなか手ごわい)




ピークまだかよ、と全員思いつつ、半ば作業的に酒井さんがリードでロープを伸ばす。フォローで終了点に到着すると、その先には空が広がっていた。最後にノーザイルで30mほど登るとそこは…。

   (およよ)




ピークだ!!!
  (うひょー!)





ひとしきり喜んで写真を撮った後、下降開始。だが、この下降で怖い思いをした。

稜線沿いに下降するよりも移動距離が短く済むということで途中から谷を下る選択をした。雪が安定していたためこのルートを選択したのだが、想定外だったのは岩壁の近くには2~mの垂直な落とし穴(シュルンド)が点在していたことである。雪で覆われており一見わからないのが恐ろしい。そもそも雪が安定していても数mの積雪で40度~50度の谷状地形を下降するのは単純に怖い。雪崩ない保証など何もないのだ。

筆者も一回落とし穴に落ちた。自力で脱出できたが、生きた心地がしなかった。
 (怖ろしい下降)

(あわわ)



心が折れたので、P3尾根は行かないことにした。

他の2人は元々行くつもりは無かったらしく、当然じゃん。疲れたし温泉行こうぜ。というような感じであった。

そして、温泉に行った。



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たくさんの課題と収穫を得た。

お腹いっぱいである。

P1尾根の不満は完全に解消された。

力を出し切った良い山行であった。