日程:2019年3月17日~19日
山域:北アルプス 鹿島槍ヶ岳
参加者:Lサイトウ、スミ
サイトウさんと鹿島槍ヶ岳北壁主稜を登攀してきました。
~~~
3/17
17:00 京都
1:00 大谷原駐車場
サイトウさんカーで移動。
8時間ずっとサイトウさんに運転していただき流石にいたたまれなくなった。
筆者は免許を取らねばならないことを痛感した。
この日は車中泊。
~~~
3/18
6:18 大谷原駐車場
9:49 アラ沢出合
10:33 スキーデポ地
14:18 第一クーロワール取り付き
15:00 第二クーロワール取り付き
15:59 天狗の鼻
駐車場で準備していると、両隣の車も登山の準備をし始めている。
私たちの他に40代ほどの男女のパーティと信州大学の男性2人組パーティの2組いるようだ。
少し話してみるとどちらも北壁の主稜狙いらしい。
平日だったので貸し切りを期待していたので少し残念。
今回の計画は天狗の鼻までスキーを上げて帰りはアラ沢を滑降する予定なのでスキーで歩き始める。
そしてこの際、わかんを車に置いてくるという判断ミスを犯す。
この判断ミスのせいで今回は苦労することになるのだった。
林道を歩いて、天狗尾根の取り付きまで進む。
登りは左岸の林道を辿ったが、少々アスレティックでスキーではかなり難儀した。
渡渉は三回。
私はビニール袋を靴にかぶせて対応した。
サイトウさんはスキーで突っ込んでいき、濡れたシールに雪がついて苦労していた。
(林道歩き)
(左奥が爺が岳で右奥が鹿島槍ヶ岳だと思われる)
(荒沢出合近くは河原歩き)
荒沢出合から天狗尾根に取り付く。
この時点で想定の時間を超過しており、かつ天狗尾根の出だしはスキーを使える傾斜ではなかったため、軽量化のためスキーをデポすることにする。
この判断も後々考えるとあまり良くなかった。
この時シートラを頑張っていたら天狗尾根の中盤では快適な登高を楽しめたはずだったのに。
軽量化した私たちはトップでラッセルをしている信州大学パーティに追いついた。
交代でラッセルをするが、私たちの順番のラッセルは遅々として進まない。
なぜなら私たちはツボ足だからだ。
こうなると必然的に信州大学さんのラッセルの距離が長くなる。
この時は流石にとても情けなかった。
この節は信州大学さん、本当にありがとうございました。
(ツボ足は沈む)
(天狗尾根下部)
(信州大学さんの大きい背中)
(いい天気)
天狗の鼻までの二箇所の難所、第一クーロワールと第二クーロワールはともに雪が安定していたため雪崩はそこまで心配しなくてよかった。
しかし、ところどころシュルンドが開いていたのでそこの注意は要した。
(第一クーロワール)
(第二クーロワール)
なんとか日中に余裕をもって天狗の鼻に到着できた。
信州大学さんのトレースが無ければヘッデン行動もありえたかもしれない。
カクネ里側は風下になっており、そこを適当に整地して幕営。
天気予報によると明日も明後日も快晴。
しかし明日は若干風が強いかもしれないとのこと。
明日のコンディションでも十分行けそうだが、登攀の確実性を上げるために明後日の20日にアタックすることにする。
~~~
3/19
終日停滞
午前中は若干風があったが、これ以上ないいい天気。
装備を干し、テントでダラダラして英気を養う。
他の2パーティは19日にアタックしたようなので20日は北壁を独り占めできるかもとか思ったり。

(鹿島槍ヶ岳北壁)
~~~
3/20
2:36 天狗の鼻
5:47 取り付き
6:30 1P目終了
7:17 2P目終了
8:21 3P目開始
9:00 3P目終了
9:59 4P目終了
11:02 稜線直下ハイマツ帯取り付き
11:28 稜線
11:37 鹿島槍ヶ岳北峰
13:38 天狗の鼻
15:00 第二クーロワール通過
15:55 第一クーロワール通過
18:16 アラ沢出合
20:25 大谷原駐車場
主稜の取り付きまでは最低コルからのトラバースではなく、一旦カクネ里に下降してから登り返すルートを選択した。
トラバースはかなり怖いという記録が多かったことを踏まえての選択だったが、カクネ里までの下降も深いところで腰まで埋まる雪の中、谷を下降したるトラバースしたりと、まあまあ神経を使う。
カクネ里までは下りきらずに登りトラバース気味に登り返しを始めるとすぐに雪が良く締まり、深くて膝ラッセルくらいになる。
高度を上げるにつれて斜度も上がり、チリ雪崩がさらさらと脇を流れていく。
途中底なしのどでかいシュルンドが開いていたため、念のためロープを繋いで登った。
(登り返し開始)
(北壁を見上げる)
(夜明け)
どうやら取り付きの谷状地形を一つとなりに間違えたらしいことに気付く。
一旦下降して正規のルートから登るかこのまま谷状地形を詰めて主稜に合流するかの二択。
詰めることにした。
ノーロープで高度を稼いでいくが、主稜へ詰めあがるの最後の20mほどが怪しい感じで佇んでいる。
ここはサイトウさんの前衛的なクライミングにより事なきを得た。
(正面尾根方面のおどろおどろしい岩壁)
(スカスカのベルグラ登攀)
結局2Pロープを出して正規のルートに合流。
そこからは100mほどノーロープで詰めあがる。
(素晴らしいロケーション)
クーロワールのルートを選択すると、だんだん氷結してきたため50mいっぱいで2Pロープを出す。
(3P目)
(4P目)
(4P目終了点)
ここからはノーロープで雪壁をひたすら詰めあがる。
ルーファイと体力勝負。
(高度感)
雪が重く、しかも沈む。
ハイマツを辿るのが楽なのでは、という考えに至り一縷の望みをかけて登るとこれが大当たりだった。
(快適な登高)
(稜線直下)
稜線に出る。
目の前には鹿島槍ヶ岳北峰がある。
荷物を置いてピークに立つと360度視界良好。
北アルプスも大町も良く見える。
結局北壁を私たちで独り占めできたこともありとてもいい気分だった。
鹿島槍ヶ岳北壁登ったぜ!!!
(やったー!)
午前中に山頂まで来れたので、今日のうちに下山することにする。
天狗の鼻までの下降では二箇所岩場が出現し、二箇所目で一回懸垂下降を行った。
(下降開始)
(北壁を振り返る)
第二クーロワール、第一クーロワールはこの2日で一気に融雪が進んでおり、登りでは存在しなかったシュルンドが多数空いていたり点発生雪崩を起こしてしまったりと肝を冷やした。
特に下降時の第一クーロワール手前の極細リッジは、サイトウさんがこの山行で一番ヤバかったと言うほど悪い状態だった。
(第二クーロワール)
(第一クーロワールの下降)
第一クーロワールを通過して、一安心したところでサイトウさんが底なしのシュルンドに落ちかけた。
全くもって怖い。
樹林帯に下るまでどこにシュルンドが開いているかわからない。
結局ロープを繋いで樹林帯まで下りた。
樹林帯ではしばしば腰まで沈んだ。
あの時スキー担ぎ上げとけばなあ、とぶつぶつ言いながらふらふら下る。
(沈む)
ほとんど役に立たなかったスキーを回収し、荒沢出合に下るのに最後に1P懸垂下降。
下降でこんなに懸垂下降するとは思わなかった。
なにはともあれ暗くなる前に荒沢出合まで下れてよかった。
(だいぶ暗い)
そしてひたすら歩いて大谷原駐車場。
下降は右岸の林道を歩いた。
こちらは左岸と違ってアップダウンは多少あるが、道は明瞭で歩きやすく迷いづらいと感じた。
ただ渡渉が右岸の倍ほど必要かもしれない。
(しんどがるサイトウさん)
(終了~)
(ごちそうさまです)